今日初めて仕事をしていて涙を流したと思う。
辛いことがあったわけじゃない。すごい怒られたわけじゃない。

変わりたいと思っているのに、誰かのせいにしてまた逃げようとした。

師匠(これからデザイナーさんのことをこここでは師匠と呼ぶ)と話してるといつも泣きそうになる。

師匠は神様、仏様のような存在。
なんでもものすごい詳しくてものすごいストイック。

同じ仕事ができるのかと考えたときに怖くなって泣いた。世界は変えたいけど、今まで見てきた景色も捨てられない。
僕は思い出を大切にしている人だから。

変わってしまうことが怖かった。
戻れなくなる。そんなことないのに。もし途中で辞めたって今までと同じどうしようもない力仕事には戻れる。
でももうそこにも戻りたくなくて居場所がどこだからわからなかった。
地に足はついていない。
師匠はあらゆることを話して教えてくれるし、人として素晴らしい人で、ブランドというよりもうその人のことが大好きで一緒にいたい。人が好きだ。
愛想のいい人ではない。でもものすごい興味を惹かれてしまう。僕の5個上。

前の会社は3日目で辞めた。
今日3日目で首を切られそうになった。
なにか失敗したわけじゃないけど役に立たないかもしれないから。

辞めよう。そう思った。とても楽しいけど、そこまで覚悟できない。辞めよう。逃げよう。頭に浮かんだ。今までの自分を守るように頭に浮かんできた。服がやりたかったらあいつと手を組んでブランドをやろうそこまで考えた。

逃げると思った。

いつの間にか、それでもどうしてもしがみついてたくて。親孝行が今すぐにできないことを悔やみ泣いた。昨日のブログも親に宛てたもの。
本当はもうほっといて欲しい。
親がいなければ思いっきりやれるのに、そう思ってる。でも今では1番話を聞いてくれるのはお母さんだ。僕の1番の相談相手だ。必ず僕の意見を通してしまうけど。
納得させる。

返したいと思っているよ。
あと1年待ってて。

3ヶ月後、6ヶ月後、1年後には今日流した涙返してやるから。
1年後には今と違う風景を見ていたい。


怖気ついて泣いて、逃げ出そうと思ってしがみついて、「やりたいです」と言った。

そうしたら師匠は僕に名前をくれた。

「sidekick」

横蹴りって意味だと思ってた。
師匠の横から蹴りを入れるようなアシスタントになって欲しいという思いからだと思ってた。
帰りに思い出して調べてみたら
「仲間」
という意味だった。

ほっこりした。


師匠はこのブランドをONE PIECEに例えて話してくれた。
師匠がこのブランドという船の指示を船長。僕を紹介してくれた友人は船を支える大事なエネルギーを作りだす役割。資金面。この船は僕を乗せて3人。今月中旬アメリカからグラフィックデザイナーが1人乗ってくる。4人になる。

前からいる有名なブランドを倒さなくちゃいけない。できなきゃ船は沈む。
僕らは解散。

自分の手でお金を稼がなくちゃいけない。

僕は今デザインの仕事を任されてる。
やったこともないのに。師匠は指示をくれる。こうやって一つデザインが完成した。
僕のデザインしたプリントの生地でシャツが作られることになる。僕はファッションデザイナーアシスタントとしてデビューする。僕の生み出した作品が世界に出る。夢みたいだ。そして次の展示会でコムデギャルソンとのコラボも決めたい。大事な展示会だ。

攻めて、潰さなくちゃいけない。
素敵なものを生み出す。

ずっと夢見ていた世界だろ。2パターンあった。華やかな人生と平凡な人生。
華やかに見えるだけでそういった人たちは人の数倍努力しているんだなと実感。
命を削って、世の中に影響を与えているんだなって。そこまでできるか。
僕はまだ人の船に乗っている。
この船を名を知れ渡らせて、そのうちの1人だと名乗る。おれもいてこのブランドなんだと。



もっと強くならなくちゃ