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19日

お家に一匹の猫を残して、大きな荷物を持って家を出た。
羽田空港から飛行機で1時間くらいで三沢空港というところに着いた。

空は暗く、地は白い。一面に雪だらけだった。そんなに寒くはなかった。こっちだって最近じゃ同じくらい寒い。と思ってたけど、やっぱり少しあっちのが寒かった。

田舎だから夜道は真っ暗。足元は雪でどこが道路だかわからない。そんな道を車で走った。

町内の会館に着いた。ここでお葬式をして、告別式をして、

ここに泊まらせてもらうらしい。
中には親戚の人がいて、布団を用意しといてくれた。

梅ちゃんみたいなお兄さんと出会った。とても面白くて、優しい。聞いたら銀杏、ハイスタが好きでドラムをやってるらしい。
楽器があれば、妹がギターでベースが僕でお兄さんがドラムで3ピースバンドを組めた。

夜はお父さんが酔っ払ってめんどくさい話を永遠にしてた。そして寝た。僕はあまり眠れなかった。



20日

夜中に降った雪で外は真っ白。今日はお葬式。
外の雪掻きをした。あいていた時間で近くの温泉へ行った。お父さんと二人。二十歳になって父の背中でも流してやればよかったのか。 そんな気配りもしないで普通にお湯に入った。気持ちよかった。

戻って、スーツに着替えた。黒いネクタイをしめる。父親のシャツを借りたので首がきつい。

受付での靴の整理の仕事を任された。もうすぐお葬式が始まる。次第に人がやって来た。




お葬式が始まった。靴の整理をしている僕は、もう式が始まったから中に入っていいよと言われたけど、式の空気が嫌で中には入らなかった。

お葬式が終わった。
親戚が残って話をしてた。おじさんばかりだから僕はずっと隣で聞いているだけだった。だけど話を聞いていてもなまり過ぎていて内容の半分もわかんなかった。聞き取るだけで疲れた。

段々とみんな帰っていった。


おじちゃん、勇介お兄ちゃん、いとこが残って、お酒飲みながら話してた。
お父さんはまた酔っ払ってめんどくさくなってた。
めんどくさくなったお父さんはいとこと勇介くんと腕相撲をしてた。負けず嫌いでうるさい。

そんな中僕も腕相撲をさせられた。周りのみんなは親子対決だと楽しんでた。お父さんが「手抜くなよ!本気でこい!」と言った。
僕だって人前で負けたくはない。父にいいところを見せる必要もない。本気だった。

勇介くんが僕と父の組んだ手を取って勝負の合図をした。



僕が勝った。初めて父に勝った。酔っ払っていたからなのか。いい勝負だった。周りのみんなが言った。いいものを見せてもらったよ。 嬉しいような、切ないような。そんな気分だった。
そんなことをしていた。聞きたくもない話も。


その腕相撲が終わって自然とみんな片付け始めた。

それからちょっと父の前を通るのが気まずかった。


次の日、

21日


朝から雪が降り続いていた。今日は告別式。告別式にはちゃんと出席をした。
お母さんが泣くもんだから、僕も泣いた。

おばあちゃんの最後の顔を見た。享年90歳。白く綺麗な顔をしていた。

今まで本当にありがとう。お母さんを大切にしてくれてありがとう。これからもみんなのことを見守っていてください。


火葬の途中、僕は家族より先に一人で飛行機に乗って家に帰ってきた。予定があったから。


飛行機の中から見る青森は真っ白でいっぱい。
雲を抜けた空は天国かと思った。
着陸の時は耳から血が出るのかと思うくらい耳が痛くなる。

もう帰ってきたんだ。

横浜は青森に比べれば暖かい。







おばあちゃん。
ご冥福をお祈りします。

今までありがとうございました。