96ff81e3.jpg

僕の耳が聞こえなくなったのか、みんなの声が小さくなったのか。どちらにしろ僕の世界が狭くなった。目が悪くなったと思えば、耳も悪くなった気がする。鼻も悪くなるだろうか。ついでに歯が痛くなってきてる。4月に行った歯医者はきっとやぶ医者だったんだろう。

バンドをやっているから仕方ない。耳が悪くなる。初めて視聴覚室で先輩たちが演奏しているのを聴いたとき、音の迫力にドキドキした。耳に負担がかかってるのを感じた。なんか悪いことをしてるんだなって思った。耳鳴りがして止まらなかった。

今ではそんなことはない。あの音の空間にいることに慣れた。だから耳が悪くなったのか。


いろんなものがなんか弱くなっていってる。なんか死に近づいてることを感じる。視力がゼロになったとき耳が目になる。聴力がゼロになったとき危険を察知できるのは目のみ。そのどちらもが失われたらもう世の中を平和だなんて思って歩けない。僕の住んでる田舎道は安心だ、なんて思えない。


そういえば今日バイト中に耳の聞こえないお客さんたちが来た。聴力を失って言葉も失った。口で「んんう゛ー」とか言って必死でなにかを伝えようとしてた。その人たちの会話は静かだった。笑っていたのだろうか。手を使って話していた。

そうだった。



この話に伝えたいことはないからおしまい。ただの日記。たぶん少し悲しさを感じたと思う。

うん。めんどくさいから深くは考えないことにした。だからおしまい。











昨日バイト帰りにいつものように清沢とラーメンを食って帰った。いつものベンチに座って話してた。夏だから。太陽が出てきていて6時になっていた。帰ることにした。



帰りに原付にガソリンを入れに家とは反対方向に行った。

その帰りに、なんとなく、なんとなく、昔住んでいた小さな町を通って帰った。今の家からそれほど離れていない。僕が生まれてから中2かな。それくらいまで過ごした小さな町。小さな町だから友達が近くに住んでいて好きだった。

十字路を通ると盆踊りの用意がされていた。この周りをハシャぎ回って走ってた。幼稚園の時、この小さな池に落ちた。鳩の糞まみれの池だった。そんな記憶もある。

僕の住んでいたマンションの前の公園では子供たちが集まってラジオ体操をしていた。夏休みらしい光景。


僕が住んでいた町だった。


懐かしい。夏らしい。






気が付けば梅雨が終わっていたみたい。いつだって梅雨なのか夏なのかの境目はわかりづらい。

ただ今は夏になったことがわかるだけ。





僕の待っていた夏が来ていました。