枯れないように。枯れないように。君がくれた想いに水を与え続けた。
今となっては、両手広げ飛び跳ねても覆いつくせないほどの大きい悲しみに。


ある日君のくれた想いは花朽ちて葉が落ちて知らぬ間に枯れていた。
それは僕の水をあげる量が足りなかったから?
それとも僕の水に飽きてしまったから?


あの日僕のせいで悲しむ両目から流れてしまった水をまた君に返したいよ。



君の冷たいその素振りも、君の笑ったその顔も、僕のなにもない手が君のなにもない手にそっと触れたことも。
思い出しては頭に浮ぶよ。君の笑ったあの笑顔。
気付いた時にだけ思い出してた、君のやさしさ。



悲しませなくない、苦しませたくない。
その気持ちのせいで僕は枯れてしまうんだね。



たとえそれが本心じゃなくても君に冷たくできないよ。悲しませなければつかめた喜びもあったのになぁ。


君の冷たいその素振りも、君の笑ったその顔も、僕のなにもない手に君のなにもない手がそっと触れたことも。
思い出しては頭に浮かぶよ。君のあの笑顔。

目を閉じればまぶたの裏にいるんだよ。

君がどこにもいかないように。





瞼の裏には/藍坊主